院長の専門領域である、循環器疾患について
循環器科とは、心臓、血管に関する内科領域を指します。これからを担う、お子さん、お孫さんにもメタボリックシンドロームの基準があります。
小児期メタボリックシンドロームの診断基準(6~15歳)
・ウエスト周囲径 中学生80cm以上、小学生75cm以上
もしくはウエスト周囲径(cm)÷身長(cm)=0.5以上
・選択項目(これらの項目のうち2項目以上)
トリグリセライド(中性脂肪):120mg/dl以上かつ/またはHDLコレステロール:40mg/dl未満
収縮期(最大)血圧:125mmHg以上かつ/または、拡張期(最小)血圧:70mmHg以上
空腹時血糖:100mg/dl以上
となっています。
以前から続いて、学校健診を複数担当しておりますが、少々気になるお子さんもいらっしゃいます。
どうぞ、日ごろの生活習慣の見直しをお願い致します。
三浦雄一郎さんの80歳という史上最高齢でのエベレスト登頂。 その快挙が連日話題になっていますが、
実は、今回の三浦さんのエベレスト登山には、三浦さんのチームドクターとして、
日本人初の国際山岳医である大城和恵医師が同行していました。
ところでこの大城医師、当院院長の大学同期生です。
大城医師によると、三浦さんは、エベレスト登山の過程で脱水状態になっていたそうで、
補水による脱水対策が大変に役立ったということです。
これからの季節、早め早めの熱中症対策をお勧めします。
ご存知ですか?おなじみのメタボ=メタボリック症候群以外に、
運動器のロコモ=ロコモティブシンドローム、という活動度に大切な概念が提唱されております。石川県でも、予防普及事業を展開しています。詳細は是非下記までアクセスを
これからの季節にしもやけの予防策などを、、、人によっては厳しい寒さでしもやけに悩まされる冬。
しもやけの正式名称は凍瘡(とうそう)と言います。原因は寒暖差と皮膚の表面温度と言われています。本格的な冬になりましたが天候に左右されて、より屋外での運動が難しくお感じでしょう。
お部屋でできる運動もありますのでご紹介します。
①床に膝立ちから片膝立ちの姿勢で左右とも膝が90度になるように構えます。両手を体の前に伸ばして手を合わせます。
3秒ほどかけて上げている足の側にウエストをひねり、ゆっくりと元に戻します。
片側15回で足を変えて反対も同様に行います→体に軸を作ると共にウエストまわりをすっきり整える効果が期待できます。
②足が固定されている椅子に浅く腰掛け、姿勢はまっすぐに保ち、手は椅子の両側を持つか肘掛があれば肘掛を持ちます。
片足を前に伸ばし足の前面、伸筋群を意識し可能なら足の付け根から持ち上げるようにします。
左右一日15回ずつ→腹横筋と大腿伸筋群に効果があり階段の上りなどに効果があります。
③うつぶせ寝の位置から両手をお尻にあて肩甲骨を寄せるように上体をそらすよう意識します。約1~2秒保持しましょう。
これを15回繰り返してください→脊柱起立筋と肩首周りの筋肉に効果があります。
それぞれ無理のない範囲で行ってください。いずれも歩行や姿勢に役に立つ運動です。
習慣づけて冬季も痩せやすい体質を目指しましょう!
最近も当院で質問がありましたサプリメントや健康補助食品といわれるもの、、、いろいろありますが、
まだ内服で思ったところにしっかり到達し効果を出しているという証拠のあるものは少ないのですが、
現在、研究が進められているものには内科的に期待されているものもあります。
わが国で成人の4~5人に一人が発症するといわれる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)。
地元の金沢大学等、北陸エリアでも食品由来のカロテノイドであるアスタキサンチン等が
有効と考えられるデータを報告しています。 NAFLDは単純性脂肪肝と脂肪性肝炎(NASH)に分けられ、
脂質過酸化亢進を介した炎症、線維化によりNASHがおこります。
単純性脂肪肝に比べNASHの予後は不良で、5~20%が肝硬変に進展すると言われています。
NASHへの進展にはインスリン抵抗性や過剰な酸化ストレス応答が関与するようですが、
これまでインスリン抵抗性改善薬といわれる薬剤は、NASHへの進展抑制効果が乏しいとの分析でした。
金沢大学等では果物、野菜、魚介類に含まれ、抗酸化作用や
炎症抑制効果が見込める食品由来のカロテノイドに注目。
わが国で開発されたアスタキサンチンを利用し肝内細胞の活性・線維化抑制作用を確認。
臨床応用を開始しています。まだ保険診療として確立していませんが、補助食品として利用が可能です
追記
2023年6月に欧州肝臓学会(EASL)、米国肝臓病学会(AASLD)、ラテンアメリカ肝疾患研究協会(ALEH)が合同で名称変更を発表したことを受けNAFLD/NASH 診療ガイドライン作成委員会が合同で検討を続けてきた結果、2024年8月日本語の新たな病名と分類が正式に決定。過剰飲酒がなく代謝異常が生じている場合を「代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD、マッスルディー)」(従来のNFALD)となりました。代謝異常が生じている場合とは、過体重や肥満、2型糖尿病がある場合のほかに、体重が基準範囲以下であったとしても、腹部肥満、中性脂肪高値/善玉コレステロール(HDL-C)低値、血圧高値、インスリン抵抗性、全身性炎症などが複数あてはまる場合も該当します。そして、このMASLDに該当して、かつ肝炎が生じている場合は、「代謝異常関連脂肪肝炎( MASH、マッシュ」(従来のNASH)となりました。
先日も患者さんから質問のあった健康食品について少しお話を、、、
アントシアニン配合の健康食品の件。第二次大戦中にイギリスのパイロットにより
ビルベリージャムを食べて飛行機に乗り込み、「暗がりでも敵機をよく確認できる。」と発言した。
このことから、戦後になりフランス、イタリアで目をよく使い酷使する夜間労働者のドライバー、
パイロットでその効力のテストが試みられ、研究が進むこととなった。
1970年代半ばにはイタリアでビルベリーからの抽出物、エキスが眼によいこと、また
循環機能を改善するとし認められて以来、ヨーロッパで医薬品として承認(含有約6種)を受けています。
確かに近年、日本でも健康食品素材として利用され、抗酸化作用による研究が進められています。
暗視力改善に効果が見出され研究され、ロドプシン(視紅素)の視物質の再合成を促進、
活性化させることが分かっているといわれていますが、いずれも大規模臨床試験とは言えないレベルです。
前向きな研究では、まだ医薬品として認められるに足りない部分がありますので、過信しないでいて下さい。
生活習慣病全般に影響する体重調整について、
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の調査によれば、せっかく減量に成功した人のうちの
三分の二以上が短期間のうちに元の体重に戻ってしまう「リバウンド」を経験しているとのことです。
これまでその原因として「気の緩み」や「意志の弱さ」など精神論で語られることが多かったのですが、
最近の研究では満腹感覚のホルモン(レプチン等)と空腹感覚のホルモン(グレリン等)が
関係しているとわかってきました。物理的な食事量ではなくホルモンに調節を受けているのです。
New England Journal of Medicineの2011年の掲載ではダイエットでは満腹感覚のホルモンが減り、
空腹感覚のホルモンが増えるとのことです。またこのホルモンの活性はダイエットを止めた後も1年ほど
元のレベルに下がらないことがわかり、これがリバウンドの1理由として理解されるようになりました。
これを防ぐには運動療法との組み合わせが必要です。ピッツバーグ大学の運動体重研究所は、
減量時の体重維持のための運動を割り出しました。週2000kcal分の運動グループでは体重の10%分を
リバウンドさせず維持。週1000kcal分の運動グループでは8%分をリバウンドさせず維持可能でした。
しかしそれ以下の運動量ではリバウンドが多いとの結果でした。
「ローマは一日にしてならず」継続した運動を心がけましょう!
近日、集団発生が報道されているノロウイルス感染についてお話ししておきます。
11月から1月頃が流行ピークで、名前はノロですが全然ノロノロしておらず、防御しないと、
少ないウイルス量でも、あっという間に感染します。 潜伏期間(感染から発症までの時間)は24~48時間、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛で、発熱は軽度です。
通常、これら症状が1~2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。
また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような場合もあります。遺伝子型でいくつかに分類され
今シーズンの主流となる見通しのGⅡ.17については従来主流のGⅡ.4と比較して簡易検査キットでの
検出感度が低いと注意喚起されました。感染していても陽性とならない場合もあり、
ノロウイルスに感染していないことを確かめることはできません。
いずれにしても保険適応で検査ができる年齢は限定されていますし、感染予防も特別でなく従前の手洗い、
排泄物・おう吐物の適切な処理、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒、食材の加熱調理などです。
尚、特効薬もありませんので、落ち着いた対応をお願い致します。
カフェインの摂取量について
昨年12月、エナジードリンクと言われるカフェイン含有の清涼飲料水の大量摂取が疑われる20代男性のピロリ菌について
近年、ドックなどで話題のピロリ菌は胃がんとの関連が言われていますが、
一部他の病気の原因としても注目されています。
国立がん研究センターの集団追跡研究では1993年に血液を提供してもらった40~69歳の男女
1万9千人を2009年まで調査。ピロリ菌+萎縮性胃炎の両方がないA群、ピロリ菌のみありのB群、
ピロリ菌+萎縮性胃炎ともあるC群、萎縮性胃炎のみありのD群にわけて罹患率を算出。
A群では10年間に胃がんになる確率が1%未満と極めて低いことが明らかになりました。
ピロリ菌が死ぬほど萎縮性胃炎が悪化したD群で罹患率が最も多かったのも注目すべき点です。
機会があれば一度ご自身でも胃の状況を確認してみては?
高血圧に対する生活習慣の一つ減塩について
塩分の排出を促す栄養素はカリウムです。体内の細胞や細胞の隙間に存在するカリウムは、 塩分であるナトリウムの量が増えすぎると、バランスを保つために、 余分なナトリウムを体外に排出するよう働きます。カリウムを多く含む食材として
野菜 パセリ、唐辛子、にんにく、しその葉、枝豆、ほうれん草があります。
果物 バナナ、干しぶどう、柑橘系(はっさく、いよかん、夏みかん)、メロン、もも、柿です。
魚 煮干し、さわら、あゆ、まあじ、ぶり、さけ、かんぱち、真鯛、ふぐ、うるめいわしです。
ナッツ類 ピスタチオ、落花生、ピーナッツ、ひまわりの種、アーモンド、カシューナッツです。
カリウムと混同しやすいのがKの字が同じという、ビタミンK
こちちらは骨の形成を助ける要素として認識されています。
1日の摂取量の目安は250~300μgで多い食品としては納豆50g=470μg、
ほうれん草70g(おおよそ一鉢)=210μg、しその葉2枚=14μgなど。
骨粗しょう症の予防・治療のためには、カルシウムの多い食品(1日の摂取量目安700~800mg)
牛乳200ml=220mg、ヨーグルト100g=120mg、もめん豆腐半丁=180mg、素干しサクラエビ5g
=100mg、ひじき10g=140mg、ししゃも2尾=140mg、小松菜80g=120mg、春菊80g=96mgなどや、
ビタミンDの多い食品(1日の摂取量目安10~20μg)サケ100g=22μg、カレイ100g=16.6μg、
鶏卵1個=1.1μg、干し椎茸10g=1.7μgなどの同時接種で、吸収のし難さを補うのがポイントです。
子供が溶連菌感染と言われました!
このように相談してくる保護者の方がいらっしゃいます。溶連菌感染は主にのどや皮膚など体内に
普段からいる常在菌である溶連菌という細菌が感染して咽頭炎などをおこします。
喉が痛む特徴があり潜伏期は2~5日で38度前後の発熱、舌が赤く腫れ上がる「苺舌」
と言われる所見が見られることもあります。脇の下、鼠蹊部などに細かい発疹が出ることもあります。
5歳~15歳の学童期の小児で高く、特に4歳~7歳に多く見られます。3歳以下や、成人では、
典型的な症状はあまりみられません。治療は抗生剤を7~10日間服用しますが、
完治まで約2~3週間の場合もあります。合併症としてリウマチ熱や腎炎といった、
けして侮れない疾患がありますので医師、医療機関の指示に従って、しっかりと治療することが大切です。
つい先日、某芸能界の方の乳がんが報道されました。
がん検診が有効ながんは、日本では、子宮 頸けいがん、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がんの五つとされています。 逆に言うと、この5つのがん以外を見つけるため、がん検診を受けることは、余りメリットがなく、勧められないということになります。動物由来感染症について
日本は世界有数のペット大国です。室内飼育の比率も上昇し、より濃厚な接触の機会が増えているといえます。漢方の処方について
西洋薬(多くはカタカナの名前で処方される薬)は有効成分が単一で、切れ味が鋭く、感染症の菌を殺したり、
熱や痛みをとる、血圧を下げるなど、一つの症状や病気に対して強い効果がありますが、
漢方薬(漢字名で処方される)は複数の成分、草根木皮を中心に動物由来のもの、鉱物などの天然物(生薬)を組み合わせて作られています。
現在、日本では148種類の漢方エキス製剤(うち軟膏が1種類)が健康保険の適応となっており、
当院は一般に保険適応のある生薬の配合剤を処方しております。
西洋薬と同じく副作用はゼロではありませんが、それぞれの生薬が、多くの有効成分を含んでいるので、
1処方でもさまざまな作用を持っています。
また名前が違っても生薬の多くが重なっている配合剤も多数あります。ご希望の方はお気軽にご相談ください。
老化物質(AGEs)について
AGEsとはAdvancedGlycationEndProductsの略で終末糖化産物と訳されます。
タンパク質の糖化反応によって作られる生成物の総称でお肌、認知症、血管病変、骨粗鬆症、
白内障などの原因とされ、関心が高まるアンチエイジングの敵としてメディアでも見るようになりました。
体内のAGEsは血中の糖が過剰になると細胞や組織を作っている蛋白に糖が結びつき、発生します。
体外のAGEsは食品の調理法のうち、揚げる、ローストする、焼く、
などの高温で水を使わない調理法の際に増加します。
コラーゲンの糖化は肌では紫外線の影響と合わさりシワ、たるみ、シミ、くすみとなり、
血管では動脈硬化から脳梗塞、心筋梗塞につながります。
骨では骨粗鬆症、目のクリスタリン蛋白に影響すれば白内障となるわけです。
脳内のタンパク質の糖化ではβアミロイドが産生され老人斑をつくり認知症の原因となります。
さてAGEsを溜めないためには、過剰な糖分、炭水化物、既に体外のAGEsを多く含む食品である加工肉、クリーム、マーガリンを避けること。
逆に少ない食品は全粒穀物、野菜、果物です。A・C・E等のビタミン類、ポリフェノール、カロチノイド類は抗酸化作用で、
調理法では低温でゆでる、煮る、蒸すはAGEsの発生を少なく抑えられます。小さいことからアンチエイジングに心がけましょう。
体と石のお話し
体内には石が出来て痛みなどの症状を起こす場合があります。
結石や石灰化と言われるものですが、代表的なものとして胆のう、尿路(腎臓、尿管、膀胱)があります。
原因としては肝臓含めた胆道結石については頻度の高いものはコレステロール結石です。
肝臓では消化を助ける消化液の胆汁が作られ、肝内・肝外の胆管を通り十二指腸に流れます。
この時、胆汁は一時的に胆のうに溜められ、濃縮します。肝臓の働きとして、コレステロールを胆汁に溶け込ませ、肝外へ排出する過程でコレステロールが過剰になってしまい結晶化して胆石の元となります。
尿路結石の場合は頻度の高いものとしてシュウ酸カルシウム結石があります。シュウ酸は肉類などに含まれ、カルシウムと結合しやすく、本来便中に排出されるべきシュウ酸が過剰になると尿中に析出します。
症状としてはいずれも腹痛、背部痛のほか、肩痛や吐き気などで現れる場合があります。
簡便な検査として当院院長が得意とする超音波=エコー検査があります。
思い当たる症状のある方は是非一度、ご相談ください。
タンパク質と筋肉
加齢により筋量が減少し、転倒・骨折を起こし、生活の質が落ちるサルコペニア(加齢性筋肉減少症)、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)は以前にもお話ししましたが、予防としてのタンパク質摂取についてです。糖尿病:早期介入の重要性
血液検査で血糖値の上昇がみられると、糖尿病或いは、その予備軍と言われます。2022年に日本動脈硬化学会から、治療の指標となる動脈硬化性疾患ガイドラインが発表されました。 動脈硬化性疾患は院長の専門領域である狭心症、心筋梗塞等の心臓疾患、脳卒中等の脳血管疾患が代表的です。 この中でも加齢は避けることができず、予防には脂質異常に加え、メタボや、喫煙、高血圧、慢性腎臓病など、 包括的管理が必要です。その為、生活習慣の改善、薬物療法の継続は基本であり、 LDLコレステロールは140mg/dl、糖尿病単独合併なら120以下、既に糖尿病の合併症を来たすか、 喫煙していれば100mg/dl以下に、既に血管事故(急性冠症候群、血栓性脳梗塞)があって、 家族性高コレステロール血症、糖尿病が併存する場合は70mg/dl以下まで調整と設定されました。 中性脂肪も食後値175mg/dlまで、が設定されました。ご注意ください。